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2010年11月03日

靴のできるまで その9(完成)

ソール・ヒールをつけて靴の形になったら、あとは仕上げをしていきます。

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ソール周りはこの後、コテを当てるので、その前に準備。
靴の表から見えているウェルトの周りの面取りをしておきます。包丁を使って慎重に。


面取りができたらウェルト周りや積み上げに染料で色を入れていきます。

それからカラゴテ。
温めていないままのコテで、面取りした部分を平らにしていきます。ギューっと力を入れて成形します。

その後、コテを電気コンロで熱して、革の部分に蝋を溶かし込んでいきます。そうすることで形もカッチリ決まり、水にも強くなります。

蝋にも色々な種類があります。
硬い蝋はそれだけ仕上がりも硬くなり、キレイな光沢が出ますが、ドレスシューズのようになりすぎる気がするので、工房では柔らかめの蝋を使っています。
硬さはそれほどありませんが、やさしくカジュアルな雰囲気になるように。

最後に余分な蝋を拭きとって、コテ作業は終わり。
コテ関係の写真、撮り忘れました。
機会があれば載せたいと思います。

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あとは、紐や中敷を作ったり、クリームで磨いたり。
木型から抜いてから、紐と中敷を入れて完成です。
今回は大雑把に靴作りの工程を追ってみました。
かなり端折った説明になってしまいましたが、靴作りに興味を持っていただけるとうれしいです。

モデルの紹介はまた改めて。

posted by cacica at 19:46| 靴のできるまで 2010

2010年10月21日

靴のできるまで その8

次はソールを貼り付ける工程です。
合成ゴムを大判のシートからソールより少し大きめに切り出します。
後に積み上げが付く所のザラザラをグラインダで平らにしておいて、本体と接着。

接着には底付け用の接着剤を使います。
製甲(アッパーまとめ)用よりも強力ですが、プライマ(下処理剤)で下地を作ったり、革には二度塗りしたり、接着まで30分程乾かしたり、色々と時間がかかるので、その間に次の工程の準備や他の作業をすることが多いです。

ソールがついたら周りを軽く削り回して、次は積み上げの接着。
積み上げは厚めの革を3枚重ねたもの。
木のようにも見えますが、革です。

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ソール側のヒール接着面はできるだけ平らにしておきますが、それでも微妙に湾曲しているので、隙間ができないようにそこにあわせてヒールの接着面もグラインダで凹型に削ります。
写真左が加工前、写真右が加工&接着剤塗布後。

それからソールと同じように接着、削り。

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ヒールの形が整ったら耐久性を増すために釘を打ち、最後にゴム製のトップリフト(ヒール接地面)を接着して、削り回します。
ソール・ヒールの作業はこれで終わりなので、キレイな形になるように、左右の差がないように整えます。

これでようやく靴の形になりました。
が、まだ完成ではありません。
この後に仕上げを施していきます。

ということで、つづく。

posted by cacica at 18:40| 靴のできるまで 2010

2010年10月06日

靴のできるまで その7

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ミッドソールを貼り付けたら、表から見て靴本体からウェルトが適度に出るように切り回していきます。
表から見るだけでなく、底面から見てソールの形がキレイになるよう気を配ります。


ミッドソールの形が整ったら、次はダシ縫い。
ウェルトとミッドソールを縫い付けていく工程です。
縫う前に、表にはピッチをマークして、底面には糸の収まる溝を掘っておきます。

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縫っている途中。
ダシ針という道具で下穴をあけながら、両側から糸を通し、ウェルトとミッドソールを縫いつけます。
糸は化繊の靴用手縫い糸を使っていますが、麻糸にチャンをひいたものに変更しようか検討中です。

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縫い終わったところ。
踵の部分は釘で固定。
ウェルトを留めたときもそうですが、釘の頭は木型についている鉄板で潰れるので、足に刺さることはありません。

このように、ハンドソーン・ウェルテッドという製法は底付け時に二度、手縫いの工程があります。
ひとつは本体とウェルトを縫いつけるすくい縫い。
もう一つはウェルトとソール(ミッドソール)を縫いつけるダシ縫い。
靴本体ソールの間にウェルトを挟むことによって、ソールが傷んだ際、交換しても本体に影響なく修理することができるのです。

ダシ縫いが終わったら、履いたときに返りがよくなるように、なるべく硬さを感じないように、ミッドソールの屈曲部に革包丁でいくつか浅く切り込みを入れておきます。足や体格によっては入れない場合もあります。

つづく。

posted by cacica at 23:18| 靴のできるまで 2010

2010年10月05日

靴のできるまで その6

今回はすくい縫いから。

下穴はあけてあるし、アッパーとの兼ね合いも考えて設定してあるので、後は縫うだけなのですが、ウェルトがうまくかからないとその後のソール周りにまで響いてくるので、やはり気を使う工程です。

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釘抜きで釘を抜きつつ、すくい針を刺してウェルトにまで穴をあけて、そこに両側からチャンを擦り込んだ糸を通し、左右から一気に引っ張って縫い付けていきます。

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ウェルトがかかったところ。
踵から前はすくい縫いですが、踵部分はからげ縫い。
ウェルトも釘で打ちつけています。



次はミッドソールをつける準備。

中底のリブの隙間は、リブを彫ったときに取っておいた端片を元に戻して平らにします。

それから、シャンクをつけます。
シャンクというのは、靴を横からみたときに地面・ヒール前部垂直ライン・ソールの作る三角の空間が履いた時に沈まないように支える、靴の背骨のようなパーツです。
色々な材質のものがありますが、工房では金属製のものを使っています。
金属と革だと接着の相性があまりよくないので、布の補強テープを巻いてから接着します。

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あとは、ウェルトを付けたことによってできてしまった内側との段差をコルクを使って埋めていきます。
板コルクを貼って、凹凸がないように滑らかにヤスリで整えます。コルクは履いたときに適度なクッションの役割を果たします。

コルクの表面が整ったら、ミッドソールを切り出して貼り付けます。
ミッドソールは踵芯と同じく床革を使っています。

つづく。

posted by cacica at 21:53| 靴のできるまで 2010

2010年10月01日

靴のできるまで その5

アッパーがまとまったら、中底を打ち付けてある木型に被せて、靴の形にしていきます。

ワニ(ペンチのような道具)で引っ張り、ポンポン(革を叩くハンマー)で叩き、たくさんの釘と少しの接着剤で木型に沿わせるようにして固定していきます。踵芯を入れたり、先芯を入れたりするのもこの段階です。

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夢中で作業していて、途中の写真を撮り忘れました。
ということで、釣り込み終了。
長い釘は倒しておくと、革をグッと引けて、木型にピタッと沿わせることができます。
次の工程で糸が引っ掛かる心配もありません。

釣り込みが終わったら、すくい縫いの準備。
ウェルトと糸を用意します。
ウェルトは銀面を剥いて、先に着色しておきます。
このときの色はソールの色で決めています。

糸は以前は自分で縒るものを使っていましたが、手間がかかるので、最近は縒ってあるものを使っています。
チャン(松脂と油を煮たもの)を擦り込んで、強度を高めておきます。

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写真上がウェルト。
着色後と着色前。
下が糸。
チャンを擦り込んだものとそのままのもの。


準備ができたら、すくい縫いに入ります。
つづく。

posted by cacica at 07:50| 靴のできるまで 2010

2010年09月09日

靴のできるまで その4

さて、中底ができたらアッパーのまとめに入ります。
漉き・コバ処理の終わったパーツ同士を貼って、ミシンで縫っていきますが、複雑なものだと縫う順番なども考えないといけません。

作業の合間に、先芯、踵芯、玉縁を作ったりもします。

先芯は靴のつま先に入れる芯。硬くなっている部分です。色々な素材がありますが、工房で使っているのは合成芯というもの。ゴワゴワした布のようなものですが、シンナーに浸して乾かすとカチッと固まります。

踵芯はカカトの部分に入れる芯。工房では床革というものを使っています。繊維は締まっていますが銀面はなく、なんとなくザラザラした革。これを漉いて厚みを調整して使います。

玉縁は靴の履き口の補強のために入れるテープ状の革。
革のみで作る場合が多いですが、私は補強のテープも入れてアッパーと同じ革で作ります。

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写真上が玉縁、左が踵芯、右が先芯。
先芯、踵芯の出番は次の工程なので、ちょっと待機。
玉縁はアッパーをまとめるときに履き口に挟むように貼り付けて縫っていきます。

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アッパーのまとめは、ミシンで縫うだけでなく、飾り穴をあけたり、重要な部分は手縫いでかがったりもします。
そんなこんなで、アッパー完成です。
ちょっと靴っぽくなりました。

つづく。

posted by cacica at 19:08| 靴のできるまで 2010

2010年09月07日

靴のできるまで その3

型入れ・裁断と前後して、一晩置いた中底の成形も進めていきます。

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チューブを外すと中底が木型に沿っているので、余分な部分を切り回します。これも革包丁を使います。
革の厚さや硬さによって包丁を使い分ける職人さんもいますが、私は1種類のものをずっと使っています。


切り回したら、ウェルト(靴の回りに出ている薄い帯状の革・底付けに使用)を縫いつけるための加工をしていきます。

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革包丁で凸状のリブと呼ばれるものを彫り出して、そこにすくい針という道具で下穴をあけていきます。
慣れると下穴はあけないようですが、私はあけています。むしろ慣れてしまうとやめるタイミングが難しいです。

削り取った一部(内周の分)は、ウェルトを縫いつけた後に元のように貼り付けるので、取っておきます。

どんな風になっているかわかりにくいと思いますので、一度、木型から外してみましょう。(本当は外さずに進めます。)

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滑らかに見えるのが足が乗る面になります。汗を吸いやすいように、そして劣化しないように、グラインダを使って革の表面を荒らしてあります。木型の跡がついていますね。裏返すと、リブがある面。

製法によって異なってくるところですが、ハンドソーン・ウェルテッド製法で作る靴の中底はこんな風になっています。

つづく。

posted by cacica at 22:48| 靴のできるまで 2010

2010年09月06日

靴のできるまで その2

今回は革の型入れ・裁断から。

工房では表革に牛革を、裏革に豚革を使っています。
伸びる方向や厚さ・強度などを考えて型紙をおき、銀ペンで革に型紙の輪郭などを描いていくのが型入れ。
サンプルは良い部分を使うのかあまり良くない部分を使うのか、悩むところです。

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その後、革包丁を使って裁断します。
写真左の茶色のものが裏革で、右のベージュと白のものが表革。
ちょっと上品な配色にしてみました。


裁断した後は漉き作業とコバの処理です。

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革は厚みがあるので、貼り合わせたりして重なる部分はボリュームが出てしまいます。
ということで、貼り代の床面(裏側)を薄くするのが革漉き。
革包丁を使います。

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コバというのは革の断面のこと。
そのままだと毛羽立ってきてしまうので、少し漉いたり処理剤を塗ったりして整えていきます。
少し手間をかけてやるだけで、グッと見栄えがするようになります。


長文、慣れないので疲れます。
ということで、続く。

posted by cacica at 22:26| 靴のできるまで 2010

2010年09月05日

靴のできるまで その1

普段あまり目にすることのない、靴作りの様子。
靴をどのように作っていくのか、気になる方もいると思いますので、何回かに分けて紹介していくことにしました。

今回の靴は展示会に向けての新作サンプルとなりますので、パターンオーダーの製法です。採寸、仮縫いの工程は省略しますが、また機会があればそのあたりのことにも触れていきたいと思います。


ということで、まずは木型を用意するところから。
木型と言っていますが、実際にはプラスティック製のプラ型。
木製に比べ安価な上、湿度による膨張・収縮がないということで、最近の主流です。

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写真は革を貼って補正し、採寸時の足の形や数値を反映させたもの。
ちなみに、レディースサンプルは奥さんの木型を使っています。


これを元にパターンを描き、型紙を作ります。

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写真左の白いのが裏革の型、右のグレーの部分があるのが表革の型。
厚紙を使う職人さんが多いのですが、保存のときに場所をとるし、薄くても充分なので、私は普通紙一枚。
場合によっては2枚貼り合わせ。

型紙を作ったら表革、裏革の型入れ・裁断に入りますが、その前に木型には中底(靴を履いたときに足の乗るパーツ)を打ちつけてクセを付けておきます。

中底を荒断ち(輪郭より少し大きめに切る)
 ↓
銀面(革の表面)を剥く
 ↓
水で濡らしてから釘で木型に打ち付ける
 ↓
自転車のタイヤチューブで巻いて一晩置く


手順としてはこんな感じです。
作業しながら写真を撮るのが意外に大変なので、端折ったシリーズになりそうですが、続けてみます。

ということで、続く。

posted by cacica at 21:53| 靴のできるまで 2010