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2016年04月08日

靴のできるまで 22(仕上げ)

不定期連載「靴のできるまで」最終回です。

kigatanuki01.jpg
コテがけでソールまわりの仕上げをしたら、木型を抜く準備。
しつけ糸を切って…

kigatanuki02.jpg
踵を留めていた釘を抜きます。

migakimae.jpg
木型を抜く前にアッパーも磨いてきれいにしましょう。
こちらは磨く前。

migakigo.jpg
磨いた後。
色のついたクリームで磨くと、艶が出るだけでなく、全体的に統一感が生まれます。

磨き終わったら木型を抜きます。
いいところですが、抜いているところの写真を撮るのを忘れました。

hanjiki01.jpg
豚革と2ミリ厚のスポンジを組み合わせて、中敷きを作ります。

hanjiki02.jpg
靴に入れます。
通常は、靴の後ろ半分にしか入っていない半敷仕様です。

kutuhimo01.jpg
靴紐を程よい長さに切ったら先端を金具で処理します。

kutuhimo02.jpg
靴に通したら完成です。
完成したお客さまの靴はこちら

連載が長引いたため、こちらの靴が一度修理に帰ってくるくらいの時間が経ってしまいました。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。

今回はやや細かく靴作りの工程を追いかけたつもりですが、不定期連載にしたため、冗長になってしまった回と、説明不足になってしまった回が出来てしまいました。
不足している部分は改めて補いたい気持ちもあるのですが、工程の大まかな流れは変わりませんので、別に機会を設けるよりも、こちらの連載に補稿していく形を採りたいと思います。

posted by cacica at 22:35| 靴のできるまで 2014-16

2016年03月10日

靴のできるまで 21(コテがけ)

不定期連載「靴のできるまで」完成間近です。

ink01.jpg
カラゴテ(コテを温めない)をかけてコバの輪郭を整えたら、ソールまわりにインクを入れていきます。

ink02.jpg
全体をみるとこんな感じ。
このままでも良いのかもしれませんが、せっかくなので、さらに熱したコテをかけて、艶を出します。

kote01.jpg
電熱器でロウを温めて溶かしながら、コバや積み上げに擦り付けます。

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あまり付け過ぎると後でふき取るのが大変なので、ほどほどに。

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コテも電熱器で温めて、擦りつけたロウを溶かし込んでいきます。
上が片コバゴテで、コバ周りに使います。
下はイチョウゴテ。こちらは積み上げ部分に使います。
コテの種類はもっとたくさんありますが、Cacicaでは簡略化しているので、使うのはこの2本です。

kote04.jpg
溶かし込んだままだと表面にロウが残っているので、布でゴシゴシふき取ります。
こうすることで、艶も出ますし、ソールまわりの強度が上がるのです。

コテはアッパーの細かな皺をとるのにも使います。

…完成しませんでした。
あと一回続きます。


posted by cacica at 22:20| 靴のできるまで 2014-16

2016年03月04日

靴のできるまで 20(ソール・ヒールの形成)

不定期連載「靴のできるまで」、完成まであと2回くらいでしょうか。
今回はソール・ヒール製作の続きからです。

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積み上げの形ができたら、より強固に固定できるよう釘を打ちこんでいきます。
バランス良く8本ほど。

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トップリフトを貼って…

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積み上げにあわせて削りまわします。

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ヒール部分の完成です。

toe03.jpg
つま先部分は前回、形ができているので、下穴をあけてから、真鍮釘を打ちこんでいきます。

toe04.jpg
真鍮釘の役割は、半分は飾り、半分は剝がれ防止です。

mentori01.jpg
ソールまわりが出来上がったら、仕上げに入っていきます。
ウェルトのエッジ1.5ミリ程をけがいて…

mentori02.jpg
そこに包丁を入れて面取りをしていきます。

karagote01.jpg
水を打ちながらコテを押し当てて、革を締めると、わずかな段差ができて、輪郭がひきしまります。

karagote02.jpg
こんな感じになりました。

posted by cacica at 21:34| 靴のできるまで 2014-16

2016年02月17日

靴のできるまで 19(つま先革・積み上げの接着)

ようやく完成が見えてきた不定期連載「靴のできるまで」、前回のソール接着の続きからです。

toe01.jpg
つま先の革部分を本底用の資材から切り出し、ソールとつながるところを斜めに漉きます。
(つま先が革になっている理由はこちら

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ソールの時と同じように底付け用接着剤で接着。

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ヒールの積み上げは3枚積みのものを使います。
カーブの先端が尖りすぎていて傷みやすいので、グラインダで削って、カーブを少しなだらかにしています。左が加工前、右が加工後。

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ヒール型を採って、トップリフト(接地面のゴム)を切り出します。厚み8ミリの合成ゴムです。

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トップリフトと積み上げを置き、その上にそのまま靴本体を乗せると、高さ・角度が合わず隙間があいてしまいます。

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そこで、積み上げの接着面に角度をつけるとともにお椀状に削ることで、隙間なくピタリと乗るようにします。

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お椀をほり、大きさを整えた積み上げ。
アゴ(前の部分)は接着後に仕上げがしにくいので、この時点で仕上げておきます。

heel06.jpg
積み上げも本体に接着し、つま先とともにぐるりと削りまわします。

posted by cacica at 22:14| 靴のできるまで 2014-16

2016年01月22日

靴のできるまで 18(ダシ縫い〜ソール貼り付け)

年が明けてしまいましたので、シリーズ名を「靴のできるまで2014-16」と改めて、靴作りの工程紹介を続けていきたいと思います。

前回までで、ミッドソール(アウトソールの下地)を貼り付けてダシ縫いの準備をするところまで進んだので、今回はダシ縫いを実際に縫っていくところから。

dasinui01.jpg
ヒールのラインのところから縫い始めます。
穴をあける道具はダシ針で、糸は化繊のものになりますが、穴あけ・糸の通し方はスクイ縫いと同じです。ウエスト部分は幅を狭く絞ってあるので、水を打ってソールをおこしながら縫い進めます。

dasinui02.jpg
表から見たところ。
ウエストより前の部分は、つり込んだアッパーの輪郭に縫い目が沿うようになります。

dasinui03.jpg
反対側のヒールラインまで縫ったらおしまい。
右下にあるのがダシ針です。

dasinui04.jpg
ヒールの部分はウェルトを巻くときと同じく釘で固定します。
ヒール部分に打ち込んだ釘は、この釘も含めて、全て木型の鉄板によってアタマがつぶれるため、足に刺さるようなことはありません。

dasinui05.jpg
ミッドソールがついた状態。
この時点で、おこしたウエスト部分はポンポンで叩き戻して平らにしておきます。

sole01.jpg
デザインテープでアウトソールの型を採ります。
以後の作業は貼る→削るの繰り返しが続くだけとも言えますが、ズレが出やすい工程でもあるので、誤差をいかに少なくしていくかが作業のポイントになります。

sole02.jpg
それを元に、ゴムのソールを切り出します。
アウトソールの厚みは4ミリに設定しています。(オプションで厚くすることも可能です。)

sole03.jpg
この後ヒールを接着する部分の接着強度を上げるため、グラインダで凹凸をならしておきます。
Cacicaの靴は、つま先部分を革仕様にしているため、つま先は斜めに削ります。

sole04.jpg
本体と接着していきます。
接着相性を良くするため、まずはプライマー(接着下処理剤)を塗ります。

sole05.jpg
その後に底付け用接着剤を塗布。
ミッドソールは革で接着剤を吸収しやすいため、二度塗りします。
少し待って、ドライヤで熱活性させてから、接着します。

sole06.jpg
接着して、ミッドソールに合わせて削りまわしたところ。

ようやく完成が見えてきました。

posted by cacica at 22:35| 靴のできるまで 2014-16

2015年12月14日

靴のできるまで 17(ミッドソール貼り付け〜ダシ縫い準備)

今年中には完結させたい、シリーズ「靴のできるまで」、ようやくソールまわりの作業に入ります。

今回はミッドソールの貼り付けから。
工房で製作している靴では実際に接地するアウトソールにゴム素材のものを使っています。
ミッドソールというのは、それを貼り付けるための下地のようなもの。

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素材は踵芯と同じく3ミリ厚の床革です。
ウェルトの輪郭を採って型紙を作り、少し大きめに切り出します。

midsole02.jpg
ウェルト部分に接着します。
この接着はこの後に縫うための仮留めなので、使う接着剤は底付け用ではなく、それよりも弱いアッパー用。修理のことを考え、コルクには塗らないようにします。

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余分な部分をグラインダで削りまわします。
ソール側からみて注意するのは、ヒールが付く部分。
ここでヒールの形が決まるので、内外で線対称になるようにしていきます。

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同時にアッパー側からもきれいに見えるラインを目指します。
つま先からボールまではいくらか広めに、ウエストは絞って、ヒールまわりは修理を繰り返すことを考えて、少しだけ広く。


ミッドソールの形が整ったら、ダシ縫いの準備に入ります。

midsole05.jpg
ウェルトの表側には縫っていくラインとピッチをマークしていきます。
アッパーの輪郭に沿うようにラインを引いて、ピッチを刻みます。

midsole06.jpg
ピッチを刻むのに使うのはディバイダー。
サイズにもよりますが、スタンダードラインのピッチはだいたい4ミリに設定しています。

midsole07.jpg
ミッドソールのヒールラインより前には、糸が収まる溝を切ります。

midsole08.jpg
これが溝を掘るためのステッチンググルーバー。

準備ができたら、次はダシ縫いをかけていきます。

posted by cacica at 21:32| 靴のできるまで 2014-16

2015年12月03日

靴のできるまで 16(ウェルトの処理〜中物詰め)

不定期連載のシリーズ「靴のできるまで2014〜2015」、前回はスクイ縫いが終わったところまででしたので、今回はその後の処理からです。

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ウェルトを縫いつけた後は、アッパーの不要になった部分を包丁とハサミを使ってさらっていきます。

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長めに残ったウェルトは…。

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濡らしながら釘で踵部分に打ちつけていきます。
ハチマキという別のパーツを使うのが一般的ですが、こちらの方が手間がかからないので、私はこの方法を採用しています。これがヒールの土台になるので、キレイな形になるように。

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ウェルトがぐるりとついたら、巻き上がった癖を直し、繊維を締めるため、ポンポンで叩きます。

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さらにウェルトが水平になるように表側からコクリ棒で擦っていきます。

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前からみるとこんな感じ。まあまあ水平でしょうか。

afer_welting.jpg
全体はこんな感じ。

otosi01.jpg

otosi02.jpg
ウェルトが整ったら、底面の段差をならしていきます。
まずは中底加工の際にとっておいた「おとし」を元に戻して平らにします。
この段階で、中底を固定していた釘は抜いておきます。

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その後、シャンクを貼り付けます。
シャンクは、靴の底面後ろ半分をしっかりと支える金属でできたパーツです。
金属と革は接着相性があまり良くないので、綿テープでグルグル巻きにしてから貼り付けます。

nakamono01.jpg
ウェルトで囲まれた部分、シャンク以外の所は一段下がったようになっているので、その段差をなくすため、中物を貼り付けていきます。フェルト等が使われることもありますが、コルクが一般的です。
練りコルクを使う方もいますが、私はシート状のコルクを使っています。

nakamono01.jpg
型紙を作って…。

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シートコルクを切り出します。
細かく分けているのにあまり意味はありません。型入れの際の歩留りをいくらか良くするためです。

nakamono03.jpg
貼り付けてから、キヤスリで削ってなだらかにします。

posted by cacica at 23:19| 靴のできるまで 2014-16

2015年10月20日

靴のできるまで 15(スクイ縫い)

前回のつり込みまでで、ようやく靴らしい形になりました。

ここからは、ソールをつけていくための作業です。
ハンドソーンウェルテッド製法は、本体にウェルトという帯状の革を縫いつけ、さらにそこにソールを縫いつけていく、ちょっと複雑な製法です。メリットはスクイ縫いの糸で革を引くことができるので他の製法よりもきっちりと木型に沿わせることができること、その糸のテンションの変化と中底の厚さで履きこむにつれて足馴染みが良くなっていくこと。デメリットはパーツ数・工程が多くなり価格が高くなること、靴の重量がやや重くなることでしょうか。

今回のスクイ縫いというのは、靴本体にウェルトを縫いつけていく工程になります。
まずはウェルトを用意します。

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銀面がそのままだと劣化して割れてきてしまうので、銀面を剥いた後に染料で色を入れておきます。
上が染色前、下が染色後。

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次は糸の準備。
9本縒りの麻糸の先端を縒り戻し、だんだんと細くなるように加工します。
耐久性・対候性を上げるため、チャン(松脂や油等を煮たもの)を擦り込み、ロウでコーティングしておきます。上が加工後のもの、下は加工前のもの。

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糸の先には金針をつけておきます。

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左がロウ、右がチャン。

いよいよ本体に縫い付けていきます。
作業途中からになりますが、わかりやすいように、細かく見ていきましょう。

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ウェルトは柔らかくするために、そして後から繊維が締まるように、水を打ちながら作業を進めます。

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スクイ針で中底にあけた穴をさらにアッパー・ウェルトまで貫通させます。

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スクイ針を抜き、それを追うように外側から金針を入れます。

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外からの金針を引き抜いて、同じ穴に内側からも金針を入れます。

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内側から入れた針に対して、アヤをかけます。

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糸が結ぶようになっているのがわかるでしょうか。
こんな風に、アヤをかけることによって、糸が緩みにくくなるのです。

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そのまま糸を引いて締めます。
内外均等な力で締めて、さらに内側を強めに引きます。
ウェルトを、より本体に寄せるようにするためと、つり込み効果も兼ねています。
これでひと目。

ひたすら縫い進めていきます。

sukui12.jpg
トウの部分は下穴同士が近くなっているので、穴がつながらないように別の麻糸をかませて縫います。

sukui13.jpg
縫いあがったところ。
右下に見えるのが、スクイ針と釘抜きです。

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表から見たつま先。
靴本体のまわりにウェルトがつきました。
幅もきれいに均等に出ています。

posted by cacica at 19:37| 靴のできるまで 2014-16

2015年08月28日

靴のできるまで 14(つり込み 後編)

間があかないうちに「靴のできるまで」の続きです。

前回、サイドの釘は打ちっぱなしだったので、打った釘を倒します。
釘を倒すことで、革にテンションがかかり、しっかりと木型に沿うようになります。
サイドはこれで終わりです。

それから、癖付けしておいた踵の表革をつり込んでいきます。

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釘を抜いて表革を開いてみると、立ち上がっていた踵芯がしっかりと木型に沿っているのがわかります。このように芯がきちんとつり込まれていると、足をホールドしてくれる踵部分が丈夫になります。

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接着剤を塗ってから、裏革の時と同じようにワニを使ってまとめます。
これで踵部分のつり込みはおしまい。
ここにソールやヒールがつくことになるので、ワニの凸部分やポンポンで叩いて形を整え、エッジを出しておきます。この前にまとめたサイドもこの後にまとめるつま先も同様に、つり込みが終わったらエッジ出しをしていくことになります。

次はつま先の表革。
踵には芯を入れましたが、つま先はまだなので、このタイミングで芯を入れていきます。
つま先の芯は革ではなく、合成芯を使っています。
布に薬品が染み込んでいるような感じのものです。

踵部分の芯は足に馴染むように革を使っていますが、先芯の役割はつま先の保護と形の保持なので、合成芯で十分という考えです。

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パターンから適切な大きさを導き出し、芯を作ります。キャップがある場合、それと同じ大きさになります。入れる位置を確認したら…。

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シンナーに浸すと柔らかくなるので、柔らかくしてからあらかじめ決めた位置に置き、乾く前に成形していきます。

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接着剤を塗っていると、その間に芯が固まってしまうので、釘で固定していきます。

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表から見るとこんな感じ。
芯の重なり等で凹凸がある場合はポンポンで叩いて滑らかにします。

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サイドから見たところ。
エッジが出ていないので、ここもやはり叩きます。

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叩いた後。
きれいにエッジが出ているのがわかるでしょうか。

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最後にもう一度全体を叩いてつり込み完了です。

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表から。
木型にぴったりと沿っています。
下に見えるのが、ポンポンです。

posted by cacica at 21:50| 靴のできるまで 2014-16

2015年08月26日

靴のできるまで 13(つり込み 前編)

昨年から連載を始めたシリーズ「靴のできるまで」。
このままのペースでは今年中に終わらない気もしてきましたが、工程の省略はせずにいきたいと思います。

さて、今回はつり込みという工程に入ります。
前回できあがったアッパーを木型に沿わせて靴の形に成形していく作業です。
つり込み中は色々なところに気を使っていて、つい写真を撮り忘れたりしているので、違う靴の画像も混ざっていますが、ご了承ください。

turikomi01.jpg
まずは、踵部分に入る芯を作ります。
芯用の3ミリの床革を切り出し、周辺部を漉いてから、キヤスリでなだらかに。
厚めの革を使うのは、しっかりと踵をホールドしつつ、履きこんでいった際には足に馴染むためです。

turikomi02.jpg
アッパー踵部分、芯が入るスペースにカウンターセメントを塗ってから、湿らせた芯を入れます。
カウンターセメントとは、芯を固めてアッパーと接着する接着剤。
芯を湿らせるのは、成形の際に柔軟性を出すためです。

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踵芯を入れたら、タックス(短い釘)を5点打ち、前足部の位置決め。

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バランスを見て大丈夫そうなら履き口を決めて踵の後端にも釘を打ちます。
木型から浮いている分は釣り込んでいくとなくなります。

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机に置くとこんな感じ。
まだ全体的に浮いています。

turikomi06.jpg
裏返すとこんな感じ。
この時点で踏まずの釘は、打ったり打たなかったり。この時は打っているようです。
下に見えている道具がワニ。
ここからこのワニを使って、しっかりと革を引き、木型に沿わせていきます。

表革と裏革を一緒に引いていくのが主流かもしれませんが、私は別々に引いています。
まずは裏革から。

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つま先と踵はカーブになっているので、ヒダを寄せるように。
この辺りは接着剤で固定しています。

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サイドは裏表を別々に引きつつ、釘で固定。
踵部分は芯を寝かすよう癖付けしておきます。

このタイミングで全体的にしっかりと木型に沿うように、ポンポン(革を叩くための金づち)で叩きます。
特に、踵は芯が入っているので、芯を締めて、形をきれいに出すように念入りに叩いておきます。

posted by cacica at 21:30| 靴のできるまで 2014-16

2015年06月21日

靴のできるまで 12(ミシンがけ 後編)

靴のできるまで」ミシンがけの後編です。

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紐穴を全てあけたら、その5ミリくらい内側に目打ちで小さな穴をあけていきます。
この後のつり込みの工程で、羽根が中途半端に開かないように、ここにしつけ縫いをしていくのです。

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こんな感じ。
こうすることで、つり込みの際にテンションがかかっても、紐穴を傷めることなく、羽根をしっかりと閉じておくことできます。
この糸は木型を抜くタイミングで切ることになります。
残った穴は完成後に靴紐を通すことで、紐の下に隠れるようになっています。

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脱ぎ履きの時に力がかかる羽根の付け根には、手縫い糸でカンヌキをかけます。
一般的には表革と同色か近い色を選びますが、今回はお客さまの希望でこげ茶になっています。
補強のための糸なので、カンヌキは完成後も切りません。

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靴紐が直接足にあたることのないよう、ベロを縫い付けます。

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表から見たとき、控えめなのが好みです。

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つま先のメダリオン(穴飾り)は、そのままだと裏革が見えてしまっているので、

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裏から表革を漉いたものをあてます。
中心部は少し厚みを残しておくと、トウに表情が出ます。

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穴の中も表革と同じ色になりました。

これでアッパーは完成となります。
ミシンがけ後編と言っておきながら、ミシンの出番はほとんどありませんでしたが、アッパーまとめの一環ということで。

次回はつり込みです。

posted by cacica at 22:17| 靴のできるまで 2014-16

2015年06月08日

靴のできるまで 11(ミシンがけ 中編)

シリーズ「靴のできるまで」。より詳しくご覧いただくために、ミシンがけは前・中・後編に分けることにしました。冗長に思われるかもしれませんが、お付き合いいただければと思います。

さて今回は、表革と裏革を一つにまとめていくのですが、その前に、履き口に入れる補強のパーツを作ります。「玉縁」とか「ビーディング(ビード)」と呼ばれるものです。

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細長く切り出した表革の共革を薄く漉いて、そこに補強の綿テープを貼ります。

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半分に折ってポンポンで叩いて、玉縁の完成。
これを履き口に入れることによって、見目良く補強ができるというわけです。

ちなみに、ポンポンは革を叩くための金槌です。
釘を打つものを革にも使うと、打面がガサガサになっていたりして、革に傷がついてしまうので、革を叩くものは専用のものを使います。

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表革に貼る前。

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貼った後。

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裏から見るとこんな感じ。
山なりのカーブはヒダを寄せて、谷のカーブでは切り込みを入れて貼ります。

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玉縁を入れたら、表革と裏革とを張り合わせていきます。
ベタ張りしてしまうと、このあと芯が入らなくなってしまうので、貼り合わせるのは履き口のみです。
貼りあわせの誤差を考えて裏革は履き口部分で表よりも大きめに作ってあるので、この段階では少しはみ出た状態になります。

upper16.jpg
合わせたら、一番上の紐穴だけ先に裏まで貫通させます。
そうしたら、その部分を少しだけ剥がして、裏ハトメを打っておきます。
表からは見えない紐穴の補強のためのハトメです。
全ての穴に打つ方もいますが、私は革やテープでも補強をしてあるので、ハトメに関しては負荷が大きい一番上の穴のみで良いと考えています。

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表からは見えなくても、裏からは見えます。

裏ハトメを打ったら貼りあわせを元に戻して、履き口にミシンをかけていきます。
…かけた後の写真が見つかりません。たぶん撮り忘れたのだと思います。

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表革・裏革を縫い合わせたら、履き口で余っている裏革を切り落としていきます。
切り落とすといっても使うのは革包丁ではなく、「市切(いちきり)」という道具です。
市切で切っていくことを「さらう」と言っています。

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市切の先端はV字型になっていて、その谷の部分が刃になっています。
ここに余分な裏革を挟むようにして、押し付けるように進めていくと、革がスーっと切れるわけです。
押し付けたときに玉縁を傷つけないよう、市切は先端右側のエッジだけ少し丸めてあります。
糸のギリギリでさらいますが、糸まで切ってしまわないように注意が必要です。

upper20.jpg
さらい終えたらサッパリとこんな感じ。
この時点で、残りの紐穴も裏まで貫通させておきます。

アッパーがまとまるまで、もう少し工程がありますので、残りは後編で。

posted by cacica at 05:02| 靴のできるまで 2014-16

2015年05月17日

靴のできるまで 10(ミシンがけ 前編)

ひさしぶりのシリーズ「靴のできるまで2014-15」。前回までの工程はこちらをどうぞ。

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表革・裏革のコバ処理等ができたら、ミシンで縫い合わせていきます。
使うのは、ポストミシンと呼ばれるミシン。写真のように下からポストが突き出していて、その上で革を縫うようになっています。このようになっていると、革を縫い合わせることによって立体になってきたものも、うまく縫いまわせるのですね。

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さて、まず縫うのは、履き口と紐穴の横の穴飾りの部分。
履き口はパーツ同士の重なりがないので、薄く漉いた革を裏から貼ってステッチをかけます。
紐穴の横も同様ですが、こちらには紐穴補強のための革パッチを少し大きめにすることによって、飾り穴をふさいでいます。この補強の革は中心部、つまり紐穴のあたりは厚みを残してあるので、紐を締めることで穴に力がかかっても、穴が広がらないようになっているのです。
また、この紐穴のあたりがせり出すことによって、靴にメリハリが出るようにもなります。
紐穴の部分はさらにテープを貼って補強をします。

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その後は、パーツを貼っては縫うを繰り返します。
貼る時にはアッパー用の接着剤を使います。

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アッパーをまとめるには色々なやり方がありますが、私は表革、裏革をそれぞれ縫ってひとつにしてから、最後にそれらを重ねてまとめるやり方を採用しています。それぞれのやり方にそれぞれの理由があるのですが、その話は長くなるので、またいずれ。

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踵中心は中表に縫い合わせていきます。「縫い割り」といいます。
縫い割りのみでは強度に不安があるため、ここにも補強のテープを貼り、その後周りを囲むようにミシンをかけていきます。

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ポストミシンで縫い進めているところ。

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表革と裏革、それぞれまとまりました。
このあと、さらにこれらをひとつにまとめていきます。

posted by cacica at 22:14| 靴のできるまで 2014-16

2015年02月05日

靴のできるまで 9(革漉き〜コバの処理〜穴飾り)

靴の製作工程を追うシリーズ「靴のできるまで2014」、しばらく更新しないうちに、年が明けてしまったので、「靴のできるまで2014‐15」として続けていくことにします。

さて、前回はアッパーのパーツの裁断が終わったところまででした。
今回は、そのパーツを縫い合わせるための下準備の工程です。

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革同士を重ねて縫いつなぐ部分は厚みが出てしまうので、革を薄くします(革漉き)。
革漉きは、たいてい機械でやることが多いと思いますが、工房には革漉き機がないので、ここでも革包丁を使います。革を切る時と持ち方をかえて使います。色々な使い方ができるのが、革包丁の良いところです。

下になる方の革は端がペラペラになるように、上になる方の革はおおよそ半分くらいの厚さにします。その他、履き口の玉縁(補強になるテープ状の革)を入れるところや踵の縫い割り(中表に縫う)部分も半分くらいの厚さにします。

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上に重なる方の革を半分の厚さにするのは、ボリュームをなくすためということもありますが、見た目をきれいにするためという目的もあります。ただ、そのままだとコバ(革の断面)が毛羽だってきてしまうので、コバ処理剤を塗って、整えていきます。
このあと穴飾りをあける部分にも塗っておくと、穴飾りがきれいにあきます。

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漉き(表革・裏革)とコバ処理(表革のみ)が終わったところ。

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コバ処理剤が乾いたら、印のついているところに穴飾りをあけていきます。
一般的に、ステッチに沿った穴飾りは「ブローギング」、つま先の穴飾りは「メダリオン」と呼びます。

印に穴あけポンチ(工房では「ヌキ」と呼んでいます)をあてて上から木槌でたたくと穴があきます。
ただそれだけの工程ですが、印とずれないように確認しながら、淡々と穴をあけていくのは、なかなか根気のいる作業になります。ヌキに色々なサイズがあり、組み合わせて使います。2つ一度にあけられるようにつながっているもの(ブローギングの小さめの方に使用)もあります。

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穴をあけたものを近くで見るとこんな感じ。

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全部のパーツの穴飾りをあけて、並べてみたところ。

これでパーツを縫う準備ができたので、次回はミシンをつかってアッパーをまとめていきます。


posted by cacica at 21:00| 靴のできるまで 2014-16

2014年10月27日

靴のできるまで 8(革の用意〜型入れ〜裁断)

靴作りの工程を追うシリーズ「靴のできるまで」も8回目。前回、お客さまに仮合わせをしていただいて木型の修正をしたので、今回から本番の靴の製作に入ります。中底は以前に作ったものをそのまま使用するので、工程はアッパー(足を上から包み込む部分)の型入れからです。

靴のアッパーは表革と裏革に分かれます。表革はその呼び名のとおり、表に出ている革。黒い靴でいえば黒い部分、白い靴だったら白い部分です。裏革は足に触れる内側の革。靴の中を覗き込むとよく見えますね。ナチュラルなベージュっぽい色味の革が使われることが多いでしょうか。
アッパーは表革と裏革の間に色々な補強が入っていますが、その話はもう少し先で。

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今回の靴で使用する表革は栃木レザーのスムースの黒(画像では右から2番目)。
北米産の原皮をタンニン(植物の渋)でなめした自然な風合いの革で、履き始めは少し硬さがありますが、履く程に足に馴染んでいくのが特徴です。あまりドレスっぽくはないですが、普段履くには調度良いと思います。

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裏革は国産の豚革です。
こちらは原皮も国産で、都内でタンニンなめしされた革。
豚革は通気性・吸湿性に優れ、摩擦にも強いので、靴の裏革に一般的に使用されています。
タンニンなめしの場合はコシと厚みがあるので、より丈夫です。

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さて、革を広げたら型入れ。型紙を置いていきます。
・革は部位によって伸びる方向が異なるので確認すること
・傷や強度不足の部位は避けること
・肌理の違いのある場合は左右で揃えること
・革が無駄にならないよう、隙間をなくすこと
など、いくつかの点に気をつけて作業を進めていきます。
型紙を置いたら、銀ペンという銀色のインクが出るペンで輪郭や穴の位置を描き、貼り代(パーツを貼り合わせるための余白)を、銀ペンコンパスを使って付けたします。貼り代は込みで型紙を作る方もいます。

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荒断ちした(おおまかに切り出した)後、革包丁で本断ち。
切り口が斜めにならないよう、刃の入れ方や角度を調整しながら切っていきます。
銀ペンの外側を切ってしまうと銀ペンの太さ分だけ誤差が出てしまうので、銀ペンの内側を切るのですが、個人的に貼り代は広めにという意識が働いて、貼り代部分だけは銀ペンを残すのが癖になっています。

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全てのパーツの裁断が終わったところ。
今回はここまでにします。

posted by cacica at 20:56| 靴のできるまで 2014-16

2014年10月09日

靴のできるまで 7(仮縫いの製作〜試着〜修正)

シリーズ「靴のできるまで」、前回までで、木型・型紙・中底の加工ができました。
次の工程はできた型紙を使っての革への型入れになるのですが、本番用の革での製作に入る前に仮縫いを作っていきます。

つり込みまでの工程は本番とだいたい一緒です。
本番と異なる点は革の質、革の端の処理の省略、補強の省略、等でしょうか。
穴飾りも雰囲気が伝わらないと困るので全てあけますし、縫製もキチンとやります。

つり込みまで終えたら、大雑把にスクイ縫いをして、本番と同じくらいのテンションをかけます。それからシャンクを入れ、これもやはり本番と同等の厚さのソール・ヒールを仮留めして、仮縫いの完成です。

…仮縫い完成の写真を撮り忘れたようです。ごめんなさい。

ただ文章のみで書くと何の事だかわからないと思いますが、それぞれの工程は後で丁寧に説明しますので、楽しみにしていてください。

仮縫いができたらお客さまにお越しいただいて仮合わせをします。
まず履いて立った状態で履き心地のチェックします。その後、実際に外を少し歩いていただいて履き心地をチェックしていきます。立っているときには何ともなかった所が歩いてみると気になるということもよくあることなので、小さな違和感でもしっかりと書き留めておきます。

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仮合わせが終わったら、お客さまと相談して、使う革などを決めていきます。
この時点で作るモデルの変更はできませんが、革やステッチの色等は変えることは可能です。

お客さまが帰られたら、修正箇所を木型や型紙に反映させていきます。
だいたいは木型のみの修正になりますが、履き口がくるぶしに当たってしまう場合など、たまに型紙の修正が入ることもあります。

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今回は木型のみの修正。
内側・外側両サイドの補正を少し増やし、その分高さを抑えるように削りました。
修正前と比較すると違いがわかるでしょうか。

今回は文章が多くなってしまいましたね。
仮合わせが終わったので、次回からいよいよ本番用の靴の製作に入っていきます。

posted by cacica at 20:02| 靴のできるまで 2014-16

2014年09月21日

靴のできるまで 6(中底の加工 後編)

シリーズ「靴のできるまで」6回目は中底加工の続きからです。

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前回の終わりに巻きつけた自転車チューブを次の日に解くと、中底は木型にしっかりと沿っています。この状態では中底は荒断ちのままで、木型からはみ出した部分があるので、それを包丁で木型のエッジに合わせて切り回していきます。

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その際、ふまずの部分は切り回しにくいため、ふまず部分に関しては前回の荒断ちの段階でラインをきっちりと出しておく必要があったのです。とはいえ、ふまず部分もチューブによる癖付けによって多少巻き上がってしまっているため、それを整える程度には切り回します。
木型のふまず部分に補正がしてあるので、写真では少しわかりづらいですね。

中底の切り回しが終わったら、リブを彫っていきます。
ハンドソーンウェルテッド製法というのは、今加工をしている中底とアッパー、それからウェルトというベルト状のパーツを縫い合わせていく製法なので、そのための成形をしていくということです。

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まずは、外周から。
補助線を引き、包丁で段差を彫り出していきます。
高さは2ミリ程度、幅はウェルトの見え方等を考慮して決めていきます。

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角度を変えて見てみるとこんな感じ。
小さな段差がついているのがわかるかと思います。

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外周が終わったらリブ幅を1p程とって、今度は内周の加工。
外周はどちらかというと「削っていく」という感じですが、内周は「切り回す」という感覚になります。こちらは後で段差を埋め戻すので、切り取った部分を取っておかなければならないからです。
すくい縫いの時にすくいやすいよう、内周は外周よりも少し深め(2.5〜3ミリくらいでしょうか)にしておきます。

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その後、すくい針をつかってすくい縫いの下穴あけ。
8ミリ幅でリブに穴をあけていきます。
つま先は少しずつ角度を変えながら放射状に。

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全周終わったところ。
踵部分は縫わないので、内周の加工はありませんし、下穴もあけません。
外周は踵芯を収めるための加工という側面が強いです。

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角度を変えて見てみると、こんな感じ。
その名のとおり、すくうように縫うので、横方向に穴があきます。

ハンドソーンウェルテッド製法で作られた靴は、足が乗るパーツの裏に、このような加工がしてあるわけです。

posted by cacica at 03:28| 靴のできるまで 2014-16

2014年09月12日

靴のできるまで 5(中底の加工 前編)

「靴のできるまで」も5回を数え、今回から革という素材が登場します。
革にも色々な種類がありますので、その都度、性質なども紹介していければと思っております。

前回の型紙の作成までで、まだ木型底面のゲージを採っていなかったので、そこから始めます。

底面のゲージは、木型が工房に来た当初に一度作成していて、それを元に木型の中心線を引いているのですが、補正を加えると底面の形も変わってくることがありますので、補正後に改めて作成します。

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デザインテープという幅広の紙テープを貼り付けて、鉛筆で輪郭をなぞっていきます。

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紙に貼り付けて、土ふまずのラインを整えてから切り出し、縦半分に折るようにして、前後それぞれの中心を求めます。木型の中心線を引くときはこれを目安にするわけです。
底面の場合はゲージがそのまま型紙になります。

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底面の型紙ができたら、それを使って中底(靴の中で足が乗るパーツ)用の革を荒断ちします。周りにゆとりを持たせて切り出すということですね。ふまず部分は荒断ちではなく、型紙のラインのとおりに切っておきますが、その説明は後程。

中底用の革はだいたい6ミリ前後のタンニンなめしの革を使用します。
厚い革を使う理由は主に2つあって、ひとつには、中底はこの後に加工をしていくため、その分の厚みが必要ということ。そしてもうひとつは靴を長年履き続けると、それが沈み込んで足の形を覚えて足馴染みが良くなり、履きやすい靴になっていくということです。あまり厚すぎても、返りが悪く(足を屈曲させにくく)なってしまうので、6ミリくらいが適当かと思います。


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さて、中底の荒断ちができたら、銀面(革のツルツルした表面)と床面(革の裏の毛羽だった面)をグラインダ(修理屋さんにあるような削る機械)で荒します。

銀面はそのままにしておくと足が靴の中で滑りますし、劣化して割れの原因にもなりますので、荒しておくのです。こうすることによって、汗も吸収しやすくなります。床面は毛羽立ちが均一でないと加工がしにくくなるので、キレイにしておくということです。両面荒したら、水でよく濡らして柔らかくしてから木型に打ちつけます。

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木型に打ちつけたところ。通常、19ミリの釘を片足4本使います。
その際にふまずのラインをしっかりと合わせておくことが大切です。
打ちつけたら釘を倒して固定します。
工房の木型はボール(足の屈曲部)の少し後ろをわずかに窪ませてあるので、そこの部分の形を出すために、念入りに叩いておきます。

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その後、癖づけをするため、自転車のチューブでグルグル巻きにして、一晩寝かせます。

中底の加工は長くなってしまったので、前編・後編にわけます。
次回は中底の加工後編です。

posted by cacica at 19:57| 靴のできるまで 2014-16

2014年08月27日

靴のできるまで 4(パターン〜展開〜型紙)

少し間があいてしまいましたが、前回はゲージの作成まででした。この段階ではまだ靴らしいものは何も出てきてはいませんが、靴作りにおいてはとても重要な工程です。いくら丁寧にキレイな靴を作っても、木型とゲージのいずれかでも合っていなければ履きやすい靴にはならないからです。

さて、では続きから。
ゲージから型紙までは、各工程でバックアップをとるため、コピーをしながら進めていきます。

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ゲージが出来たらそこにパターンを引いていきます。今回はフルブローグです。
私の場合、先に補助線を何本か引いて、それを元に実際の靴のラインを描いていくようなやり方をとります。フルブローグの場合、ラインが多いので、線と線の関係を常に意識して、無理なカーブなどがないように心がけます。

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パターンが引けたら切り出して、展開していきます。
適当な大きさの茶紙を半分に折ったら、そこに切り出したパターンを乗せ、目打ちやルレットを使って内側・外側それぞれののラインを写していきます。

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広げて切り出すとこんな感じ。
このままこれを型紙として切り出しても良いのですが、念のため、木型にきちんと沿うか確認します。

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木型に釘で打ち付けて履き口がピタリと沿えば、革でアッパーを作ってもしっかりとしたものができます。沿わない場合は微調整をします。

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展開したパターンが木型に沿ったら、つり込みの時に使う余白を足してパーツ毎に切り分けて、型紙の完成です。紐穴やブローグの穴は型紙にもあけておきます。

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こちらが表型。普通に靴を履いていて見える表側の型紙です。
メダリオン(つま先部分の穴飾り)は形や位置の変更等があるかもしれないので、別に用意します。

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こちらが裏型。足に触れる裏側の型紙です。
表のようにパーツ毎に切り分けると縫い目が足にあたったり、そこからほつれたりするので、パーツは最小限に抑えます。タン(ベロ)は表型と兼用です。


posted by cacica at 06:33| 靴のできるまで 2014-16

2014年08月07日

靴のできるまで 3(ゲージの作成)

3回目となるシリーズ「靴のできるまで 2014」。初回に書き忘れましたが、この靴作りの工程はスタンダードラインのものになります。カジュアルラインの靴作りはまた違ったものになりますので、いつか機会があったらそちらも書いていきたいと思います。

さて、前回は木型の補正まででしたね。
補正が終わったら、木型の中心線を引きなおします。
木型の中心線は、木型屋さんから送られてきた段階ですぐに引くことにしていますが、切削するとその線も部分的に消えてしまうので、それを改めて引き直すということです。

その後、ゲージを作成します。
ゲージというのは、パターンを引くときの原型になるものです。
立体である木型を一度、平面にする作業と言っても良いと思います。

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B4程度の大きめの紙を用意し、それを木型の外側にあてて、中心線〜履き口〜踵中心線のラインといった具合に、それぞれのラインを確認しては切り出していきます。手を動かせば簡単なのですが、言葉で説明するのはなかなか難しいところです。

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外側が終わったら次は同じように内側も。
足もそうであるように、靴、そして木型も、中心線から外側と内側では、形も面積も違うため、両方の形を採っていく必要があるのです。

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両方の形を採り終わったら、それを一枚にまとめます。
ゲージはパターンを引く毎にコピーして繰り返し使うので、その際にわかりやすいように茶紙(ちょっとシワシワですが革を購入した際の包装紙です)で作ります。内側外側を重ねて描き、パターンを引くときの補助線を入れたものがゲージになります。

全ての工程において言えることですが、ゲージの採り方も職人さんによって色々と異なりますので、その内のひとつということで、参考にしていただければと思います。

posted by cacica at 20:45| 靴のできるまで 2014-16